異次元の旅人(ディメンション トラベラー)
「駄目よ!!お金なんかあげちゃ………代わりにこれで良いでしょう?」

それは初めて出会った時に奪われた……

「あっ……危なかったぜ~、上等だ、王様お金いらねーよ」

ヴィンセントはオレットに奪われていた帽子を深々とかぶった。

オレットはバイクの後ろに乗った。
王様は不意にオレットに近づいた。

「何?お父様?」

目を瞑って首を横に振りそっとオレットを抱きしめた。

「後のことは気にせずにお前は自分が決めた道を胸を張って進むと良い」

ヴィンセントもバイクに跨るとすぐにオレットはヴィンセントの背中に顔を押し当てた。
ヴィンセントは背中が少し湿ったのが分かった。
ヴィンセントがもう一度二人の意志を確認するとアクセルを一杯に絞った。

轟音と共に砂煙を上げて二人は荒野へと消え去った。
………
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