ひと夏の片思い
待ち合わせ場所に行くと山崎は先に来ていた。表情は相変わらず、嬉しいのかつまんないのか分からない顔だ。
「どこ行く?」
「どこでも」
山崎が行こうと言った定食屋は休みだった。仕方なく車を走らせた。
「千冬、落ち込んでるよ。雅也くんとのこと聞いた?」
店を探しがてら私は言った。
「ちらっと聞いたけどね。あいつとはあれからあんまり話てないんだ。」
「そう。」
「大人 対 大人だろ。他人が口出すことじゃない。そう思わない?」
山崎はいつものつるんとした顔で言った。
「でも千冬は本気だったんだよ。」
「雅也がダメなら仕方ないだろ。あっ、ここでいい?」
山崎はファミレスの駐車場に車を入れた。
< 9 / 11 >

この作品をシェア

pagetop