その日の前夜~地球最後の24時間~
 その伝えられる内容は疑問だらけで、何のことを言っているのか分からないのだ。

 上官の話の内容が要領を得ない、というかその話自体が自分の理解を超えている。

「ちょ、ちょっと、もう一度説明してくれますか?」

 頭の中でかみ締めるように通話口からの音声を理解しようとする。そしてその内容を理解したとき、ひろみは文字通り震撼した。

「そんな……そんなことって……」

 指が小刻みに震え、思わず取り落としそうになる携帯電話を慌てて握りなおした。

 心だけが急速に奈落の底に向かって落下していくような感覚に、無意識に足を踏ん張っていた。次々に知らされる事実はすべてが絶望へと繋がり、そして恐怖だけが増幅してゆく。そしてその先に──


 未来は無かった。

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