スリーズ・キーノート



「レイ?お茶持ってきたけど……。」


不意に、部屋のドアの向こう側から、女の声がしてきた。その後にドアが開き、その女が現れる。
その女が何なのか、考える必要は無かった。
「ありがとう、お姉ちゃん。」
「ううん。……2人とも、ゆっくりしていってね。」
……ああ、こいつが……。

イチさんが弱ってる原因を作った女。原因が目の前にいる。
俺は怒鳴りつけやるか?と冗談半分に思ったが、やめた。多分イチさんの苦労が増えるだけだからだ。
……レイの姉から視線を外し、ため息をついてキューの顔を見た時。

キューの、"暗さ"を見た。今までになかったそれを。レイの姉を見て、悲しいような、迷っているような表情をしていた。
……その顔が表す感情の名を、俺は知っている。
恋、って奴だ。

ああ……そうか。泥沼なんだ、やっぱり。
キューは、この姉に恋をしている。はまり込んだら、抜け出せない恋を。
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