リアルシティー〔前編〕
 6月15日、綾子はいつもどおり帰宅して、パソコンの電源を入れてメールを確認した。
『ゲームモニター当選のお知らせ』
綾子はモニターに応募したことさえ忘れていた。
「えっ、なんだっけ?モニター??? あっ、そっかぁ!百万円もらえるやつだ?やった!!!」

 『ご当選おめでとうございます。厳選なる抽選の結果、あなた様がモニターに選ばれました。』
「ほんとに?嬉しい~!」
『つきましては、添付のモニター様説明会のご案内を読んでいただき、必要書類をご記入のうえ、会場にお越しさい。…』『ゲームの詳細は参加が確定した方にだけ、当日会場で説明いたします』『当日、説明会に参加できな場合やモニターを辞退されるは、次点の方にモニターの権利が移行します。…』
「なんか厳重だな~。よっぽど凄いゲームなのかな~?」
「説明会は、いつだろう?」
 モニター様説明会のご案内を開いた。
『何なに、開催日は6月23日で、15時~17時。場所は六本木の六本木センタービル30階東2号会議室か』
「さすが~、ゲームで相当儲けた金持ち会社!」綾子は携帯を開いて、スケジュール帳を見た。『平日の木曜日か、月締めは翌週だし、なんとか大丈夫そう?』
 モニター説明会の前日は朝から23日が株主総会の当たり日であると報じていた。
『明日、とりあえず休み貰ったけど、電車も道も混むかな?なんだか憂鬱になってきた』
「でも、百万円は欲しいしな~。 行くだけ行ってみよう」
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