リアルシティー〔前編〕
 「百万円もの謝礼をお支払いするからには、モニターの皆様に守っていただく事が何点かあります」
『やっぱり、何かあるんだ』綾子は思った。
「一つは、半年後の発表までの間のゲーム情報の守秘義務です。モニターを承諾いただくと誓約書を提出していただきます。誓約書と引換えに、私が腕に付けています時計型モニター装置を皆様にも付けていただきます。」
後藤課長が左手をあげて、Gショックに似たモニター装置を見せた。
 「二つめは、このモニター装置は情報漏洩防止のため、一度装着すると特殊な装置でしか外せないようになってます。モニター終了後、ここに集っていただいて、モニター装置を外し、百万円をお渡しします」
「え~っ」
数人のモニターが声をあげた。
 「すいません」
綾子の左隣の女性モニターの伊藤恵子が手を挙げた。
名札には『REAL2565 お名前エコー』と書いてある。
後藤課長がテーブル上の座席表確認した。
「エコーさん、どうぞ」「その装置が取り外しできないなら、お風呂とかどうするんですか?」
「大丈夫です。装置を付ける時にサイズを調整します。また、装置は完全防水になってますので、よっぽど深いところに潜らない限り心配いりません」
恵子が続けた。
「大きさとデザインは、それだけですか?ファッションセンスないと思いますが?」
男性が苦笑した。
「申し訳ありません。第1弾はこれだけです。第2弾でサイズと色を検討します」
「エコーさん、よろしいですか?」
「是非、女性向けにファッション性も検討して下さい」
「ほかにご質問のある方はいらっしゃいませんか?」
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