リアルシティー〔前編〕
第3章
 10分の休憩後、応募者10人全員が残っていた。
開発2課の椎名社員が会場に入ってきた。
「皆さん揃ってますね!」
「私、10人全員が残るか心配だったんですが、全員残っていただいてとても嬉しいです」
概要説明の時より柔和な口調であった。
 「先ほど、概要説明でも話しましたが、詳細説明に入る前に皆さんに承諾書を記入していただきます。今から承諾書を配布しますので、記入が終わりましたら私まで提出して下さい」
承諾書を配りながら続けた。
「承諾書の内容は、ゲーム情報の守秘義務と、モニター装置の装着、そして皆さんの携帯の使用についてのの承諾になります」
「ただし、お名前はニックネームではなく、本名で記入して下さい」
会場内に笑いがこぼれた。
「それから、先ほど言い忘れましたが、ゲーム報道発表までの約半年間、皆さんの個人情報は弊社で管理しますのでご了承願います」
「では、記入が終わった方から私のほうまで提出して下さい。記入が終わった方からモニター装置を装置させていただきます」
 約30分ほどで全員にモニター装置の装置が終了した。
「やっぱり、ゴツイわね。センスないわ」
恵子が皮肉った。
 「全員にモニター装置の装置が終わりましたので、説明会場を移動する前に、一人1分程度で自己紹介をしていただきたいと思います」
「まず、入口側前方のバンビさんから順に右側へお願いします」
 175センチくらいの細身の男が立ち上がり、前に出た。
「バンビさん、名前はニックネームでいいですからね」
バンビ、エコー、ノーベルマン、シュガー、リョウ、ホワイト、マウス、グリーン、バンブー、ハリーと続いて、30分弱で終わった。
『女性は私とエコーとグリーンの3人ね。仲良くしなくちゃ』
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