君の手を繋いで

あー! もーわっかんねぇ!!


俺は頭をガリガリと掻いた。


何もかもがわかんねぇ。


あの夢がなんだったのか。

日向が今どう思っているのか。


俺が、どうしたいのかも……



ベッドから降りて、窓の外に目を向けた。

雨がひどくなっている。

去年の今頃も、これくらい降っていたんだっけな。


雨で視界が悪くなってる中、日向の部屋を見つめた。


相変わらずカーテンが閉まったままで、日向がいるかどうかすら分からない。


そういえば、日向に誕生日おめでとって、言ってねえな。


去年も、言えなかった。とても言える状況じゃなかったから。


今年は、ちゃんと言ってやりたかったのに……



「勇太。居るの?」

部屋のドアをノックされる音と同時に、母さんの声が聞こえた。


「居るけど。何?」

ドアに向かって答える。


「勇太、あんた、日向ちゃん知らない?」

「えっ……」

母さんの口から不意に日向の名前が出て、俺は固まった。


すぐにドアに向かってドアを開ける。

母さんは不意だったのか少し驚いていた。


「日向、どうかしたのか?」

俺はじっと母さんを見てきいた。


「うん……今、玄関のところに日向ちゃんのお母さんが来ててね……日向ちゃんがいないから、うちに来てるんじゃないかって思ったらしいんだけど、来てないでしょ? 勇太、何か日向ちゃんから聞いてない?」

母さんには何も言わないで、俺はすぐに部屋を出て階段を降りていった。


降りてすぐに玄関が見える。

そこには、傘を持った、久々に見る日向のおばさんがいた。

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