感方恋薬-かんぽうこいやく-

第8節

「良いか、媚薬というのは、相手に恋愛感情が無くても、その気にさせる薬じゃ、それに対して惚れ薬と言うのは、相手に恋愛感情を抱かせる薬じゃ。分かるか?」


「ほ…ほぇ」


あたしは、えらく間抜けな返事を爺にする。


爺はあたしの表情を見ると、


「分かっとらんな、違いが?」


「は…はへ」


あたしは、又しても気の抜けた返事をした。


「貴子、弟は薬が効かなかったと言ったのじゃな?」
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