感方恋薬-かんぽうこいやく-
「ふっふっふ…弟よ、小姑は手強いぞ…」


そう、呟くとあたしは自室に戻り鞄を机の上に頬り出して、暫く何も考える事も無く、ぼ~っと過ごしたのだった。


だって、なんもする事が無かったんだからしょうがない。則子に嫌がらせのメールでも送り付けてやろうか。


         ★


弟は夕食直前に帰宅した。


そして、あたしは弟の部屋をノックしてみる。


「お~い、居るか~」


あたしが、そう声をかけると、中から


「うお~い」


と返事が有ったので、ゆっくりとドアを開いて、あたしは弟の部屋に入った。弟はテレビゲームに夢中らしく返事はしたものの眼はテレビモニターから離す事は無かった。
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