感方恋薬-かんぽうこいやく-
「なんじゃ、騒がしいのう」


呼んだ瞬間爺はあたしの前に現れた。


あたしは、赫々云々事情を爺に説明する。


「ふむ、まぁ、おまえさんがそれで良いなら、わしは何とも言わんが」


「何も言わないって割には何か言いたそうじゃ無い?それに、それで良いとも思ってないし…」


「まぁ、若い内は、何事も経験じゃ。これも後々良い経験をしたと思える時が来るじゃろう」


爺は髭を弄びながらあたしに答えた。


「何事も経験かも知れないけど、したくない経験も有るんだよなぁ。良かったと思える事も無い様な気がするんだけどなぁ」
< 304 / 327 >

この作品をシェア

pagetop