感方恋薬-かんぽうこいやく-
ほんっとうに、少しは気付けよ、姉の変化によぉ。


その視線にようやく気が付いたのか、弟は、あたしをじっと見詰めた。


そして重大な事を告白する様なシリアスさであたしに言った。


「それ、食わないなら頂戴…」


言い終わらない内に弟はひょいと箸を出して来たので、あたしは、その掌を自分の箸で、思い切り突き刺した。


「いって~な、姉貴…」


弟は掌を撫でながらあたしに抗議した。


「当たり前だ、人の物にいきなり手ぇ出すからそう言う眼に合うんじゃい!」
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