感方恋薬-かんぽうこいやく-
鍋の中身が段々と煮詰まって行く。


薔薇の香りや、シナモンスティックやバニラビーンズの香りが台所中に漂う。


確かに匂いは悪くない。


此れを付ければ女性向けの甘ったるい匂いがするコロンか何か付けてる感じで、好みが合えば、ひょっとしたら、意中の相手が自分の方向を向いてくれるかも知れないとあたしは思った。


鍋の中身が冷えたのを見計らってそれを、化粧品用の小瓶に詰める。此れで完成。


あぁようやく眠れる。


則子にはこの代償に何を要求しようか?


ハンバーガー一個なんてケチな代償じゃすまないからな。


覚悟してろよ則子!そんな事を考えながら私は台所の後かたづけを始めた、


その瞬間だった…
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