この胸いっぱいの愛を。



「だったら、何なのよ」

曖昧な返事しかしない健吾にイライラしたのか、アユが貧乏揺すりを始める。




「あの人達、この前服装指導で部長に注意されてたなぁって」

「………それだけ?」

コクリ、と頷く健吾。


「そんなの、よくある話でしょ」

呆れ顔でテーブルに突っ伏すアユと、


「神田さん、やっぱりカッコ良いです!」

再び目を輝かせて、身を乗り出す速見くん。


どこまでも正反対な二人の反応に、つい笑いそうになってしまった。




「あの様子じゃ、反省してなさそうだね」

二人のスカートはパンツが見えそうなくらい短い。

注意されても、聞かなかったんだろう。


「許せないですね!
 神田さんの忠告を無視するなんて!」

プンプン、と一人で腹を立てる速見くん。

なんかもう、憧れを超えて崇拝の域に達してる気がするのは、私だけ?

とは言え私も、ちょっとムカついてるんだけどね。


構ってくれる内は良いって、よく言うじゃん。

見捨てられて何も言われなくなる前に、ちゃんと改めれば良いのに。









「あれ?」

「今度は何よ?」

キッと健吾を睨み付けるアユ。




「あそこにいんの、駿河先輩じゃね?」




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