この胸いっぱいの愛を。



「どーゆーつもりだ!?
 今すぐ拘束を解け!」

力任せに叫ぶと、男達は互いに顔を見合わせて、何を思ったのか笑いだした。


「バーカ、解くわけねーだろ!
 解くのは用が済んでから♪」

「用、だと?」


……こいつら、俺に何をする気だ?

何せ、人を平気で殴るような人間だ。

何をするか、わかったもんじゃない。


「用が、何かって?」

真ん中に立っている奴が、眉間にシワを寄せて唾を吐いた。


「てめぇが、いっつもやってることだよ」

右隣の奴が、顔をゆがめて言う。




………俺が、いつもやっていること?


最近の出来事を思い返してみても、心当たるようなことはない。




「フッ……わかんねぇみてーだな。


 どーだ、いつも自分が見下してる奴に見下される気分は?」

「!!…それは、違うぞ!」


俺は、見下してなんか……




「ぐぁっ!!!」

弁解しようとして口を開くと、目の前にいた奴が突然しゃがみ込み、拳を俺の腹に思い切り叩きつけた。


「何でも良いけど、もうちょっと静かにしよーね?
 ほら、バレたら俺ら退学だから♪」


「わかっているなら……」

やめろ、と言い掛けたところで、今度は髪を鷲掴みにされた。




「黙ってろよ。
 今の状況、わかってんならな。」




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