砂漠の王と拾われ花嫁
「ラシッド様のベッドを汚してしまいます どうか用意した部屋へ」


アーメッドが再び言った。


「良いと言っただろう?しつこいぞ アーメッド」


ぐったりとした娘を見つめたままラシッドはアーメッドを見ようともしない。


そればかりか娘の額に濡れた布を置いている。


女をこれほど気にかけるラシッド様を見た事がない。


この娘はいったい何なんだ・・・


この娘の着ている服はわが国では見たことが無い。



ラシッドは莉世の瞳を思い出す。


瞳は・・・・確か・・・グリーンだったな。


わが国にはこのような容姿の者はいないはず・・・


しかも砂漠が危険だと言う事は小さい子供でも知っている。


こんな無防備な格好でなぜあんな所に?


きれいな肌と思われる肌はかさかさになってしまっている。


女官に身体を冷やされても莉世はなかなか目を覚まさなかった。



冷やしても冷やしても身体は熱く、吐息も熱かった。



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