砂漠の王と拾われ花嫁
「ラシッド様、違う部屋を用意いたします」


アーメッドは自らのベッドを薄汚い娘に使った事に驚きを隠しながら言う。


「いや、良い。侍医はまだか?」


娘は意識を失ったまま動かない。


美しかったと思われる栗色の髪は今では艶も消えていた。
 

髪が短ければ少年のようにも見える娘だな。


控えめに扉をたたく音がして王宮の侍医マハドが入ってきた。



丁寧に娘を診ていく。


「熱射病による脱水症状ですな かなり深刻です」


マハドは控えていた女官に娘の体を冷やすように命じる。



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