砂漠の王と拾われ花嫁

* * * * * *



「お父様、ラシッド殿下はまだわたくしと会ってはくださらないのですか?」



召使いに指を丁寧にマッサージされながらファティマは入って来た父親に問う。



「おお、ファティマ 今日も美しいぞ」



「お父様、聞きたいのはそんなことでは無いわ 早くラシッド殿下とお会いしたいの」



形の良い唇を突き出して言う。



「殿下はなかなか忙しくてな すぐに会えるとも」



「早くお会いしたいわ」



「邪魔な娘を排除している最中だからな もう少し待ちなさい」



タヒールは笑みを浮かべる。



さて、早くしなければ娘も痺れを切らしてしまうな。




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