砂漠の王と拾われ花嫁

* * * * * *



莉世はラシッドの腕の中にいるのに胸中に不安が広がっていた。


「リセ、何も考えずに眠るんだ」


頭の上からラシッドの声が暗闇の中で聞こえた。



「・・・はい」


何も考えずにドロのように眠りたい。


莉世は目を閉じてラシッドの胸に擦り寄った。





ずいぶん経ってから莉世の小さな寝息が聞こえてきた。


神が私にくれた大事なリセ。


腕の中にいるこの存在が愛おしい。



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