砂漠の王と拾われ花嫁
「・・・お兄様は・・・知らないのです」


「それはいけませんわ 殿下は知るべきです」



ライラが首を振る。



「駄目よっ!」



ライラ先生はわたしとお兄様の事を知らないから言えるんだわ・・・。



「殿下がお知りになれば他の国で治せる者を探すはずですわ」



その事は頭になかった・・・。



そうした方がいいの・・・?


ううん、だめ。


「姫君?」


「左手の事を知ったら・・・・奴隷市場へやられるかもしれないわ・・・」


ラシッドの愛がいまだに信じられない。



ラシッドの忙しいせいもあるが、莉世は左手を知られる事を恐れて自分のベッドで先に眠ってしまうのだ。


恋人同士になったのに知られたくないばかりに避けてしまう。


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