砂漠の王と拾われ花嫁
厩舎に残されたラシッドの愛馬ガラーナがいつになく騒がしい。


前足で柵を蹴っている音が聞こえた。



「早く手伝って!」


片手ではシラユキの背に乗る事は無理だった。



馬番は土に片膝をつくと莉世が足をかける台を作った。



なんとかシラユキに乗ると体が安定せずにふら付いた。



「姫様、無理でございます」



莉世がシラユキから落ちそうになりながらも留まっている姿を見て馬番が言う。



「ガラーナが暴れているわ 静かにさせて」



ガラーナのヒヒンと鳴く声がうるさい。



シラユキもその声に落ち着きがなく足踏みしている。



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