砂漠の王と拾われ花嫁
「どこへ行かれるのですか?」


目を伏せながら馬番の青年が聞く。



「心配しないで すぐ戻ってくるわ」



そう言うとシラユキを歩かせた。



数歩、歩かせると莉世はシラユキに走るように命じた。






なんとかバランスを取りながらシラユキの背で頑張る。


必要以上に力を入れるから汗が額を伝う。


ちょうど昼下がりの午後、一番暑い時間帯なのだ。



そんな時間帯に水も持たずに砂漠へ向かうのは危険だ。


だが、その危険も考える余裕などなく莉世はまっすぐ砂漠へ向かっていた。





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