砂漠の王と拾われ花嫁
「マハル、ありがとう」



莉世は3冊の本を胸に抱えてマハルのところへ戻ってきた。



「お持ちいたします」



マハルが3冊の本を莉世から取り上げた。



2人は書庫を出た。



部屋に戻る廊下を歩いているとタヒール大臣と数人の男たちが向こうから歩いてきた。



莉世が歩いているのが見えているはずなのに頭を下げることもせずに向かってくる。



莉世はタヒール大臣と目が合わないようにそっぽを向いた。




「タヒール様、婚礼のご用意は進んでおられますかな?」



通りすがりに聞こえてきた言葉に莉世はドキッとした。



「滞りなく進んでおりますよ」



笑い声を上げながら上機嫌にタヒールらは莉世の横を通り過ぎた。



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