砂漠の王と拾われ花嫁
莉世はラシッドの寝室から離れる事が出来なかった。


早く戻ってきて欲しい。


うなだれてクッションのくぼみを見た。


お兄様の言う通りにすれば良いのかな・・・。


あれほど怒ったお兄様を見たことがなかった。





空が白み始める頃、ラシッドは寝室へ戻った。


そして自分のベッドに身体を丸めて眠っている莉世を見つけた。


長いまつげが頬に影を作っている。


愛らしい姿だ。


指を莉世の頬にあてると、涙の跡を見つけ顔を歪める。


シーツにも莉世の涙の跡があった。


どうやらお前を泣かせてしまったようだ・・・・。


ラシッドの胸が痛んだ。


この痛みは莉世でないと得られないものだ。



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