[短編]愛しているから

「‥‥はい。すぐに来てください」


ピッ




電話を切ると血まみれの包丁は床に転がっていた




「電話したから。もう少ししたら警察が来るよ、父さん」



「そうか」




父はもう息をしていない母を抱き話しかけた




「江梨子…江梨子‥」


江梨子とは母の名前


ちなみに父は拓哉で
僕は翔(ショウ)





「江梨子…お前は俺のモノだよ…俺だけのモノだよぉ」




そう言いながら何度も自分の顔を母の体にスリ寄せる




白いYシャツは赤く染まっていく
< 3 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop