[短編]愛しているから
「‥‥はい。すぐに来てください」
ピッ
電話を切ると血まみれの包丁は床に転がっていた
「電話したから。もう少ししたら警察が来るよ、父さん」
「そうか」
父はもう息をしていない母を抱き話しかけた
「江梨子…江梨子‥」
江梨子とは母の名前
ちなみに父は拓哉で
僕は翔(ショウ)
「江梨子…お前は俺のモノだよ…俺だけのモノだよぉ」
そう言いながら何度も自分の顔を母の体にスリ寄せる
白いYシャツは赤く染まっていく