アイドル様とヒミツな恋を。
「お前なぁ……」
今にも飛びかかりそうな竜人を止めたのは、
「あのッ!!もしかして桜庭竜人さんじゃないですか!?」
という意外な声だった。
………へ?
……えぇ!?
もしかしてバレてる!?
恐る恐る振り向くと、大学生ぐらいの女の人達2、3人が竜人の周りに集まって来た。
……うわー。
背高いし細いしスタイル良すぎじゃん……
私には到底かなわないような女の人達は、竜人と話したいのかウズウズしている。
チラッと竜人を見たら、いつも意地悪をする時みたいに、口角を上げてニヤリと笑って。
「誰それ。人違いじゃね」
私と話してる時でも、テレビの時の優しくクールな声でもなく。
ただ冷たいだけの言葉を浴びせた。
竜人の豹変ぶりに驚いた女の人達は、しばらく固まって、
「えっ、あ……、すいません」
そう言って足早に私達のところから去っていった。