アタシ
 次の日、サトシは来なかった。メールをしたら
(まだ札幌だから無理。帰ってきたら絶対渡す。)
と返事が来た。更に次の日も、その次の日も。
 もう無理だ、と思った。アタシは騙されたんだ。騙されて1時間半もフェラをしたんだ。
(ムカつく。騙しやがって。もうメールすんな。)
と送ってやった。返事はすぐに来た。
(信じてくれないならもういい。)
逆切れってやつですか。アタシは呆れすぎてもう声すら出なかった。きっとサトシはこれが狙いだったのだろう。「儲かった。」と喜んでいるサトシのあのずるそうな笑顔を思い浮かべると異常なまでの殺意を覚えた。だからこそすぐにアドレスを消し、連絡しないようにした。女の執着心って怖いから。
 しばらくの間、アタシはまた部屋に閉じこもり泣いていた。一人の女として、プライドを踏みにじられた気がしてすごく悔しかった。サトシの顔が嫌なくらいフラッシュバックされて、狂いそうになる。一番はエンコーで稼ごうとするアタシがいけないんだろうけど、それでも悔しくて悔しくて…そして悲しかった。
 でもアタシは懲りなかった。もはや頭の中は金でいっぱいで、とにかくエンコーがしたくて堪らなかった。1日何回も募集をかけた。もうサトシの時のようにヘマはしたくなかったからかなり慎重に。そのお陰かかなり順調に稼ぐことができ、財布の中には常に何万、何十万という大金が入っていた。
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