音楽バカ

それから…と、紗英が付け加えた。

「あゆ…田尾さんのことなんですけど、」

「ん?なに?」

希良は歩み出した足を止めて振り返った。

「部活、やめたくないと思います。
 本当は音楽好きだし…」

「あぁ、うん、それは…。」

わかるよ、よくわかってる。と何回かうなずいた。初めて楽器にさわったとき、吹けるようになったとき、音楽を楽しんでいる様子は様々な場面でうかがえた。

「だからこそ…だよ?」

そう話すと希良は部室への足を速めた。
















きっかけは何となくだった。
美弥子と紗英が吹奏楽部の見学に行くのに何となくついていったことがきっかけだった。
最初はどこの部活も入る気はなかったのだけど。

そこで魅せられてしまった。

格好良かった、
名も知らない黒い楽器を吹いているあの人が。

それが後に知る[宮路希良]だったのだが。

次の日、すぐに入部届を提出し、志願したのはもちろんあの黒い楽器だった。
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