音楽バカ

「きらー、
 これからカラオケ行かない?」

「行かなーい。」

「えぇー」

「ばかっ
 ご、ごめんね、きら
 ほら、行こ!」

希良は逃げるように去っていく女子の後ろ姿を睨みつけた。

「なんでそんなに嫌うの。」

呆れたように美音が訊く。

「何が。」

「そんなに音楽好きなのに
 なんで歌を嫌…」

「知ってるでしょ、
 あんたは幼なじみなんだから。」

「あぁ…
 幼稚園のころの音楽会で
 ソロがあって…
 歌に夢中すぎて転んで
 舞台から落っこちたアレ?」

「わかってて聞いたでしょ。」

「あはは、あたしだもん。」

「…。」

希良は少しむくれてそっぽを向いた。

さっきの女子はもう下にいる。ため息をついてそのままの向きで美音に話しかけた。

「美音、あんたはよく合唱なんてやってるよね……」

美音は少し考えてから言った。

「楽しいわよ、合唱。
 あんたの絶対音感があればすぐに上達するのに。」

希良は鼻で笑って

「あたしが合唱??
 ありえないよ。」

と言った。
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