音楽バカ

「今日は合奏の前に大事な知らせがある。
 実は来週、我が部始まって以来史上初の外部から指導者がくることになった。」

「ハイ!」

2年生が勢いよく手を挙げた。

「どーぞ、鈴木さん。」

「その外部指導は男の人ですかー??」

「話によれば…男の人。」

「「えぇーーー」」

男子部員一同、ブーイングだ。

「現役の音大生らしい。」

「かっこいいんですかっ?」

「さぁ、どうだろう…
 俺も直接は会ってないから。
 とにかく今まで以上に頑張ろう。」

女子はきゃあきゃあと盛り上がるが、男子のテンションは低い。
そんな中でずっと黙っていた石橋が口を開いた。

「…くだらねー。」

「何がだよ。」

下倉が訊いた。

「興味ねーんだよ、外部指導がどんな奴だろうと。
 例えそれが格好良かろうと、全男子の憧れ・新●結衣似の美女だろうと。」

「いや、石橋、今さらっと自分の好み出たから。」

「顔とかそんなところに興味はない。
 俺は純粋に音楽が好きだ。」

「純粋にガッ●ーが好きなんだろーが。」

「大事なのは」

「おい、無視かよ。」

「その外部指導にいかに俺らのやる気を見せるかってとこじゃねーの?」

石橋は菅波を振り返った。菅波は大きく頷く。

「そうだな。みんな頑張ろう。」

「「はい!!」」

部員一致の返事だった。
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