音楽バカ
そして、
「夏休みだからと言って浮かれていてはなりません。
家では手伝いをし、………」
なんだかハゲの校長がいろいろ言ってるが、全く耳に入らない。
このクソ暑い中、体育館で全生徒が整列し、立って話を聞いてやっているのだから、話は早めに切り上げていただきたいと思う。
ただでさえ、この後配布される通信簿が怖いのだから。
そんな考えを、何回か頭に巡らせたところで終業式はやっと終わった。
教室まで戻る生徒の波に押されながら、もうすでに汗でくっついているシャツの胸元をパタパタと仰ぐ。
「宮路さん、」
小さく、呼ぶ声がする。
希良は呼ぶ声の主を振り返った。
「山羽先生。」
小さく手招いている。
首を傾げながら生徒の波をかき分け、山羽の前へたどり着いた。
「何か……?」
怒っているのか、笑っているのか、全く表情が読めない。
希良は少しだけ怖じ気付く。
「コンクール出るのね、吹奏楽部。」
「……はい。」
「うちの部も8月に出るの。」
知ってます。
とは言わない。美音がいるから毎年出ていることも承知だ。
「初めてね…吹奏楽部は。」
「はい……」
声が裏返った。うまく返事ができない。