。☆゜星空゜☆。


家に着くなり、親に病院を連れまわされた。


もちろん今日は大晦日。


病院もやってるところがなく……。


遠いところまで案内されて、やっと診てもらえる救急病院に着いた。


レントゲンを撮った結果、肋骨2本がきれいに折れ、1本にひびが入っていた。


あたしはレントゲンを見て、びっくりした。


本当にきれいに折れていたから。


肋骨はギブスができないらしく、肋骨のまわりを器具で固定された。それでもなんだか、だいぶん楽になったような気がした。

  


そしてこの年、あたしたち家族は車で年を越した。

 
帰りの車の中には嫌なムードが漂っていた。


あたしがお父さんとお母さんに話しかけようとしたとき、お母さんのすすり泣く声が車の中にむなしく響いた。


「泣いてるの……?お母さん……」


弟が話しかけると、「流奈……、お母さんは情けないわ……。好きにしなさい。もうお母さん疲れたから……」


お父さんまでも、「なにを言っても、何度言っても、同じことの繰りかえし……。流奈はわかってくれる子だと思ってたよ」そうつぶやいた。


隣にる小学生の弟までもが、あたしを冷めた目で見ていた。


一瞬、崖から突き落とされたような痛みを感じた。


それと同時に孤独を感じた。


あたしね、いま謝ろうって……。


これから変わっていくから見ててほしいって、そう言おうとしてたんだよ。


素直に謝ろうって、そう思ってたんだよ。


でも、あたしの言葉より、お母さんの涙のほうが早かったんだよね。


弟の言葉のほうが早かったんだよね……。


あたしは、お父さんとお母さんの言葉を聞いた瞬間、そんな考えを持っていたことすら、遠い昔のようだった。


車の窓から、ただ遠くを見つめていた。


あんなに痛かったはずの肋骨が、たいして痛くないように思えた。それより、もっと心のほうが痛かった。


あたしの心が悲鳴をあげていた。誰にも届くことのない悲鳴を。





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