*あたしの好きな人*
龍、あたしを見つけて走ってきたの?
ケンカの途中に?
えー!?
それって最高に嬉しいんですけど!
「え〜龍〜待ってよ。何〜?彼女できたの?作らないって言ってたじゃん!」
周りにいた女たちが話しだす。
「超ショック!龍、特定の子いないって言ったよね?」
「その子が好きだったからとか?」
「嫌〜!龍はみんなの龍でしょ〜?」
言いたい放題の女たちの前に
達也が立った。
「はい終了〜!今日から龍にちょっかい出したヤツ、俺がぶっ飛ばーす!んで、この子に手出したヤツ、ぶっ殺す。」
このセリフで、周りの空気が一瞬
凍った。
女たちが固まった。
「俺も‥‥ぶっ殺す。」
とどめの龍の言葉。
あたしでも分かるくらい、
サーっと冷めていくような
雰囲気に包まれた。
女たちの顔は、青ざめた。
「ってことは、龍もうここ来ねーの?」
達也が聞いた。
「あぁそうだな。あんま来れねーな。こいつに心配かけたくねぇし。」
「ありゃ〜‥‥俺もそういうこと言ってみてぇわ。でもたまには顔出せよ?」
達也はきっと、龍の一番の
信頼できる友達なのかな。
そうじゃなければ‥‥
達也は龍の信者?
違う違う。昔からの友達なんだろうな。
「おぅ!わかった。ケンカはしねぇよ?じゃぁまたな。」
「おぉ〜また。あ!彼女、なんて名前なの?」
達也に聞かれ、あたしはピンと背筋を伸ばした。
「柚です!椎名柚です!よろしくお願いします!」
ペコっと頭を下げた。
「あはは!マジ可愛い!名前まで可愛い!‥‥ん?椎名?ってもしかして桜さんの妹とか?なわけないか〜。」
「桜はあたしの姉です。」
「マジで!?うわぁ〜すげぇ。美人姉妹じゃん。龍はいいね〜。」
達也はあたしをまじまじと見た。
「‥‥おい。お前、間違ってもこいつには手出すなよ?」
龍が少し警戒気味に達也に言った。