*あたしの好きな人*
そして龍はあたしの手を握り、
みんなのところへ歩いていく。
「お?龍、その子は?」
「あぁ。っつーかさっきのヤツらは?」
「あいつらなら龍にビビって帰ってったよ。途中なのにさ〜お前急に走ってったから。で、誰?また新しい子連れてきたのか?」
新しい子?
「ここにいる女どももみんな龍が連れてきたヤツらばっかだしな〜。」
龍がいろんな女を連れている‥‥
奈々が確かそう言っていた。
「あれ〜!さっきの可愛い子じゃん!何何何〜?手なんかつないじゃって〜。」
最初にあたしに話しかけてきた
しつこい男、たしか達也って
いってたっけ。
達也が、龍があたしの手をつないでいることを、珍しげに見てきた。
「こいつ、俺の。あ、こいつはマジなやつだから。」
うっ‥‥‥ヤバ‥‥
今のヤバイって!
俺のって言った!
なんていい響き‥‥‥
あたしは龍の言葉の余韻に浸った。
「マジかよ〜。俺超タイプだったんだけど〜。龍の女だったらマジ手出せねーじゃん。」
「出すなよ。」
「え?龍もしかしてその子見つけて乱闘中に脱走したわけ?マジあり得ね〜!」
「そんだけ龍がその子にマジってことだろ。」
「さすが龍だな。あんなときでも女を優先か。」
次々とみんなが話す。