*あたしの好きな人*
「ちょっと龍くん!なんでこの子なの!?」
「お前には関係ねーじゃん?じゃーな。」
桜井龍はいきなりあたしの手をひいて歩きだした。
ちょ、ちょ、ちょ、
何してんの!?
手!手!
「あ、あの‥‥」
あたしは足を止めて、
桜井龍に話し掛けた。
「ん?あぁ、わりぃ。」
パッと手を離し、
桜井龍が口を開いた。
「ごめんな?あいつしつこいから適当に嘘ついた。」
そういうことか。
「あの女の先輩、彼女じゃないんですか?」
「彼女?俺、女いねーよ。」
「いるって聞きました。」
「誰にだよ。」
「奈々。祐介さんの彼女です。」
「あ〜。祐介がデタラメ言ったんだろ。」
そうなの?
それならあたし、頑張っちゃうよ?
パッと明るくなった顔を見られないように下を向いて、心の中は喜びでいっぱいになった。