旦那様は高校教師


「遅くなってごめん」



ベンチやブランコを行ったり来たりしていると、大好きな人の声が届く。



「私こそ忙しいのに来てもらって…」



私は小走りに、先生へと駆け寄った。



「ほたるが来てって言えば何時でも来るし、会いたいって言えば何処にでも会いに来るよ…」



先生は照れ笑いを見せながら、ベンチへ私を誘導する。



「次郎は一緒じゃないの?」



ベンチに座りながら先生は辺りをキョロキョロ見渡す。



「今日はお留守番してます…」



「そうかぁ…」



先生はポツンと呟き、いつも次郎が居る場所をジッと見つめる。



次郎も一緒の方が先生的には良かったのかな?



そう言えば、こうして先生と並んで座るは何日振りだろう?



凄く久し振りに思える。



だからかな?



初めて先生の隣に座った時みたいに、ドキドキが治まらない。



先生に伝えようと思っている事、全部忘れてしまいそう。



私は小さく深呼吸をし、気持ちを落ち着かせた。





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