旦那様は高校教師
「大丈夫か!?」
血相を変えた心ちゃんが、私を持ち上げる様に立たせてくれる。
其れからゴールの隅へ私を連れて行き、足や体に付いた砂を払いだす。
チクチクと皆の視線が向けられる。
う゛…痛い…。
足の傷より、突き刺さる視線の方が痛い…。
「先生、有り難う…大丈夫だから」
私は心ちゃんに背を向けた。
今は此処から離れなきゃ…。
皆の視線から逃れなきゃ…。
臆病で弱虫な私には、今の状況が耐えられなかった。
「待て!!手当てしないと…」
心ちゃんは私の腕を掴む。
「1人で行きます…」
歩き出そうとする私の腕を更に強く握り、其の手を離そうとはしない。
結局、心ちゃんの熱意に負けた私は、救護テントまで支えて貰いながら歩く事になった。