旦那様は高校教師


雪子が何を言おうとしているのか察しはつく。



だからテントへ戻ろうと、背を向けた。



「チョット心矢さん!?此の指輪…」



いきなり俺の腕を掴み、雪子は困惑する。



「あっコレ?結婚指輪だけど、言ってなかったっけ?結婚した事…」



今、確実に雪子を傷付けた。



心は痛むけど、どんな言葉を並べられても、俺と雪子は終わっている。



俺はほたる以外の女を愛する気はないし、愛せない。



ほたるは俺の人生そのもので、不可欠な人なんだ。



今更あの頃に戻るなんて、あり得ないんだよ。



雪子は何も言わず、グランドを去って行った。



俺は気を取り直し、所定の位置へ急いで行く。



見廻りや準備の手伝い等をしながら、ほたるの応援をする。



午前の部で、ほたるが出場する競技は残り3種目。



其のうちの1つ、綱引きが始まった。





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