旦那様は高校教師
「ワンワン!」
犬の鳴き声が遠くに聞こえ、振り向くと次郎が俺に向かって勢い良く掛けて来る。
「次郎!?お前、南条が何処に居るか知らないか?」
俺はしゃがんで次郎に問う。
「ワン!ワンワン!!」
ピョンピョン跳ねながら吠えた次郎は、突然走り出す。
其れはまるで『付いてきて』と言っているようにも見える。
お前…言葉が理解出来るのか!?
俺は半信半疑で追い掛けた。
次郎は、公園の隅にある大きな土管で立ち止まる。
「南条は此処に居るのか!?」
「ワン!!」
次郎は俺を振り返りながら、土管のトンネルへ入って行く。
どうやら此処で間違いないらしい。
俺は体を屈め、次郎の後に続いた。