同居ゲーム
「じゃあね。」



美喜さん達が部屋に戻るまで、あたし、というか海斗は動かなかった。



パタン、という音がしてドアが閉まる。



静かになってから、海斗はあたしを引っ張った。



「えっ…?」



引っ張られて入ったのはあたしの部屋じゃなく、海斗の部屋だった。



海斗がリモコンを操作して豆電球をつける。



少し薄暗かったけど、目が慣れると気にならなくなった。



海斗の部屋での定位置に座り込む。



と、海斗は呆れたようにため息をついた。



「この季節に暖房きいてない部屋のフローリングによく座れるね。
しかも夜の。」


「何となくここが好きなんだもん。」


「こっちおいで。」



また手を引っ張られた…。



さすがカーペットは温かい。



電気カーペットは特に。



あたしは両手をぺったり下につけた。



「ほら、こっちのほうがあったかい。」


「うん。」



べったーと寝転がってみた。



あったかい。



じわっと温もりが伝わる。



「気に入ったんだ。」



笑いを含んだ海斗の声が上から降ってきた。



にやっと笑みで答える。



そういえば



「どうしたの?」


「え?」


「あたしを引っ張り込んだじゃん。」


「あぁ…。」



たっぷり十秒溜めた挙句、「何となく。」と可愛く答えた。



「えぇ〜…。」



何それ。







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