同居ゲーム
とうとう、この日が来た。
昨日は、泣いて泣いて眠れなかった。
赤くなった目を隠すように、あたしは俯いている。
支度をしてリビングに行くと、みんなは荷物をまとめて、リビングで待っていた。
11時に、謎の男の人が来る約束になっている。
時計の針の音が静かな部屋に響く。
誰も、喋らない。
あたしは美喜さんの隣に座って手をつないだ。
「ねぇ、由宇希。」
「何?」
「大好き。」
「うん。」
やだな、美喜さん。
余計さみしくなるじゃない。
ガチャッと扉が開く音がした。
みんなの視線が玄関に集まる。
静かな足音が近づいてきて、リビングのドアが開く。
「お待たせしました。」
綺麗な角度でお辞儀をして、彼は中に入ってきた。
「どうでしたか、このゲーム。」
みんな、それぞれに頷く。
「お役に立てたことを願います。」
たったよ。
でも、あなたの社長さんが望んでいたような役立ち方ではないかもしれない。