同居ゲーム
「約束の1年が経ったので、ここを引き払っていただきます。」



にこやかに、あたし達に出ていけ、と要求した。



「あの、延長なんてことは…。」


「出来ません。」



前々からお願いしようと考えていたことがあっさりと拒否された。



あたしは「あぁ」とか「はぁ」とか情けない返事をして縮こまった。



「小倉さん、この1年、楽しかったですか?」


「はい。」


「それはよかった。
対人関係に関する悩みもだいぶ解消されたんじゃ?」


「はい。
だいぶ人見知りも和らいだと思います。」



男の人はにこやかに頷いた。



「これからはもっと楽に構えていってくださいね。」


「…はい。」



じゃあ、行きましょうか。



男の人はパンと手を打った。



みんな、ぞろぞろと立ち上がる。



郵送する荷物だけ残して、あたしは残りの荷物を持った。



「行こう、由宇希。」



海斗に手を引かれ、あたしは1年暮らした部屋を後にした。






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