同居ゲーム
もうあと少しで夏休み。



土日家にいるだけでこれだけ気を使うんだから、夏休みなんてもっと…。



ああ、憂鬱。



あたしはのろのろとコンセントを抜き、掃除機を持ち上げた。



そのままよいしょと押し入れにしまう。



リビングに入ると、央がテレビを観ていた。



「何観てるの?」



言いつつ隣に座る。



「ん?
ああ、こないだやってたドラマの再放送。
俺、地味に好きだったからさ。」


「へぇ、意外。
けっこう甘々だったのに。」


「俺はどっちかっていうと好きだな。」



へぇ、本当に意外。



なんか男の人ってこういうの好きなイメージないからなぁ。



そう言うと、央はうーんと唸った。



「そうか?
女でもグロいのとか銃撃戦とか好きな奴いるぜ?」


「あ、あたしも好き。
アクションとか大好きだよ、あと車のスタントとか。」


「お前のが意外だよ!」



そう?



あたしけっこうやんちゃな子だったんだけどな。



男の子に突っ掛かるの平気だったし。



「まぁ、今のあたしじゃ想像つかないか。」



ところが央はあっさり否定した。



「いや、そうでもない。」



けろりと言う央に、どういう意味よ、と噛み付く。



「いやいや、悪い意味じゃないって。」



慌てて弁解する央に身を乗り出すようにして詰め寄った。



「じゃあどういう意味?」



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