SEASON
助けを求めるつもりで丹羽さんを見ると満面の笑みだった。

「捺未、SEASONへようこそ」

「…へっ?」

助けを求めるつもりで見た丹羽さんからはあたしには理解出来ない言葉が紡ぎ出された。

シーズン?season?SEASON?季節?なんですかそれは…。

「…陽生、何も言わずに連れてきたのか?」

鍵穴さんの問いに「そうだっけ?」と軽く答え、鍵穴さんのため息を誘う。

丹羽さんと鍵穴さんの会話はあたしをさらに混乱させるもので何がなんだかわからなくなった。

「あの…これは一体どういう事なんでしょうか」

丹羽さんを見て鍵穴さんが大袈裟にため息を吐いた。

「何も言わずに連れてきてすまなかったな。コイツすぐ突っ走ってブレーキかけない奴だから」

また丹羽さんを見てさらに大きなため息を吐く。

「簡単に言うと、俺らとバンド組まないかってこと。捺未の事情もあるだろうし無理にとは言わないが、俺としてはこれから一緒に同じ世界を作り上げてみたい」



これがあたしと彼らの初めての出会いだった――――
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