SEASON
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「――痛っ!」

出会った頃の懐かしい思い出を思い返していると額に痛みが走った。

額を押さえ痛みに涙を浮かべながらデコピンした本人――――千明を睨んだ。

「痛いんだけど」

「わいのデコピンはここの中で最強やさかいな。痛いのは当たり前や」

イタズラがばれずに無事成功した子供のように千明はニンマリ、と笑った。

千明の笑い方に無性に腹立たしさを覚えさらに睨みつける。

「ってかなんであたしがデコピンされなきゃなんないのよっ!」

デコピンされる覚えなんてない。さっきここに来たばっかだし。

「彼氏はんでもできたんか?」

「は、彼氏?そんなのいないし!てかいらないし!!」

「そない全力で否定せんでも」

首が取れそうなくらい横に激しく振ってありえないってくらい否定すると千明は腹をかかえて笑った。

「そもそもデコピンされた理由聞いてないんだけど」

「ん?あぁ、捺未が入って来たときえらい顔がゆるんどったからなんやいいことあったんやな思うてな」

「それと彼氏がどう関係すんの?」

わからないと言うように首を振ると千明はちょっと驚いた顔を見せる

「女の嬉しい事言うたら男ができることやろ?」

「……ここで初めて会った時のこと思いだしてただけ」

否定しなかったのはあたし以外だったら当てはまるんだろうなぁって思ったから。

あたしをそこら辺の人たちと一緒にしないでよ。
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