SEASON
「SEASONのこと?」

「そ。英語の意味は分かるよな?」

「季節とかでしょ?」

「常識だよな。んで、季節ってのは4つあるだろ?春夏秋冬で一年だ。一応メンバー全員それぞれ季節があるわけ。うまいこと名前に季節が入ってるヤツばっか集まってな。しかも全員漢字は違うと言うな」

「あ……だから最初名前の漢字聞いてきたんだ」

「そういうこと。結局はさ、名前で集まったもんみたいだからそんなに高見なんて俺らは望んじゃいないわけ。5年先も10年先も暇があれば集まって楽しく弾ける、そんなバンドにしたいわけ。メジャーデビューしたいとかプロになって音楽で食べていきたいなんて現時点では誰も考えてないんだよ」

ドラムのバチを手で弄んでいる風幸の目は将来を語るように夢見ているみたい。

「だからそんなに堅くなんな。俺ら演奏する側が楽しくないと観客も楽しくないだろうし、俺らのモットーは楽しく弾く事だから、それを忘れんなよ」

最後にバチで頭を軽く叩かれた。

結局風幸はあたしに楽しんで弾けばいいってアドバイスしてくれたんだと思う。

遠回りしてたけどこれが風幸の優しさなんだって思える。
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