ＳＥＡＳＯＮ

そこまではっきりとは今の時点ではわからないけど。

――――ごつっ

突然後頭部に激しい痛みが走り、何事かと顔を上げるとニンマリと笑っているようで笑っていない数学教師がいた。

その手には出席簿。

あれの背表紙で叩かれたんだ。

そりゃ痛いはずだよ。

「俺の授業はそんなにつまらんか？進む速度が遅いんだな。よーしわかった。栗原のためにこのクラスは早く進めることにしよう」

１人で解決して満足したように教壇に戻っていく後ろ姿に「えー」「それなら真ん中を取って遅くするとか」と非難の声を上げる。

「これ以上遅くするとテストがテストにならんぞ。教科書も当然ながら終わらんな」

教壇に戻った教師は何事もなかったかのように授業を再開した。

「怒られてやんの」

後ろから小声で声をかけられ軽く振り向くとクラスメイトの佐田亮介が笑っていた。

「佐田くんに言われたくない」

「今日は栗原が怒られてたんだぜ？」

「今日はたまたまだったんだよ」

「ふーん」

疑わしげな目線を向けてきたので前を向こうとしたらまた声をかけられた。

「で、何考えてたんだ？」