瞼の人-マブタノヒト-

3つ目のあめちゃんは凌治にあげる事にした。


二人で廊下に座ってる凌治の所に行って、ありがとうとあめちゃんを渡した。
びっくりして目を少し見開いた凌治はすぐに笑って受け取った。

食べずに胸ポッケに入れた凌治は「タケに見つかると何かと面倒だ。」って言って私とユーリを笑わせた。


お昼を過ぎて廊下ですれ違った凌治からはレモンの香りがして、なんだかくすぐったくてユーリと内緒で笑った。




教室に戻ると私の席によく知らない子がいた。
話したことないけど、高宮君とよく一緒にいる子だった。


『あの、そこ私の席なんですけど…』


遠慮がちに声をかけてみると、何故か凄い形相で睨まれた。


「あんたが木田澪?」

『はい、そうですけど…』

何故か睨まれたままの私。


何で私の名前を知ってるんだろう。
そんな事を冷静に思ってたりしてた。


このただならぬ空気に教室は静まり返ってた。


「なんだ大した事ないじゃん。来て損した!!」

鼻で笑って、この目の前の女は続ける。

「修平に付きまとわないでね!!修平も迷惑だって!!」



頭を鈍器で殴られたみたいだった。
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