フェザールスタの肖像

ああ、前方に走る馬車を見つけたんだ。
カンテラをいくつも付けた馬車は飛ぶ様に道を急いでいる。

舌を噛みそうになりつつも、聞きたい事を口にした。

「アルベール王子は大丈夫なの?ケガしちゃったの?」

ギュスターヴは答えてくれず、やっと馬車まで追いつき
私は馬車の扉の窓から中をのぞいてみる。

!!!!!!!!

王子は頭から血を流し、家来に抱きかかえられてまま動かない。
所々、顔にもやけどをしたのか赤くなり、着ていたローブが焼けこげている。
力なく落ちる手、黒く汚れた長い銀髪。

体を強張らせた私に何も声をかけず、馬車を走らせる家来に
「先に城に知らせる!構わず飛ばせ!!」
と怒鳴っている。

頭上で怒濤のごとく叫ぶ声と傷ついたアルベールを見て一大事なんだと、解った私に出来る事はもう、ひたすら馬から落ちない様にギュスターヴにしがみつく事だけだった。
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