シークレットラブ
「壱……也?」
そう問いかけてみるけど、反応はなく、ただ腕の力が強くなっただけだった。
「……──てんじゃねぇよ…」
「……え…?」
「変な男に捕まってんじゃねぇよ…」
耳元で聞こえたその声は、壱也だとは思えないくらい弱々しいもので、思わず壱也の方に振り向き、自分からキスをした。
「…………っ……」
いつもより余裕のない壱也は私の意外な行動に、顔を赤くした。
「そのことは…ごめんなさい。でもっ、壱也色んな人に囲まれちゃうし…、
遠くに…感じちゃったんだもん。」
私が真面目に頑張って言ってるのに、壱也は肩を震わせて、笑いを堪えていた。
「もうっ!!壱也っ!!」
「はは、あはは、悪ぃ悪ぃ。それって妬きもちだろ?なんかすっげぇ、嬉しくて。」
そう言いながら、結婚式当日から疲れたって言って、私から身体を離した。